2005/07/19

暗室


昨日から部室に泊り込み、写真の現像・プリントを久々にやった。1℃のずれ一秒のズレがあっても、微妙に仕上がりが違ってくるフィルム現像をする時はいつも通り集中力が要る。フィルムの中に収まっているカットを絶対に無駄にしたくないと思う気持ちが強くなればなるほど集中力が増す。これまでも数々の現像ミスはあったが、その度に自分が存在していた時間の喪失にショックを受ける。特に一期一会が多い旅先でのカットが詰まったフィルムの現像ミス程、虚しくなる事はない。学部2年の時、タイ北部の原住民(カレン族やったかな)の村を訪れた際、現地の子供達と触れ合い収めたカットがカメラの不具合と現像ミスが相まり真っ黒な状態のネガが出来てしまった。あらゆる後悔と共に眼前も真っ暗になった。

そんな失敗から学ぶ事が多い。温度に対するシビアさ、温度計のチェック。時間の二重計測。単純な事だけど、今じゃ徹底するようになった。
これまでの現像時の失敗を集約したら(カメラ正常時)
1:温度(室内、現像液等)、2:時間(現像、停止、定着、+αでかくはん)の二つだと思う。
この2つをきちんと正確に行えば、フィルム現像は失敗しないと考える。経験的カンの影響はあっても10%程度だと思う。

右の写真は7月頭に研究会で東京に行った際、ふらりと表参道から青山に立ち寄り撮影したもの。実は3、4年前にもこの建築の錯綜的な構造に惹かれ興味を持ち撮影した。今回リベンジ。

2005/07/04

映画『モーター・サイクル・ダイアリーズ』

 昔よく行ってた中崎町の古着屋にこの前久々に行った際、馴染みの店員さんと南米の話で盛り上がりタイトルに挙げた映画の事を薦められた。チェ・ゲバラが主人公の映画だが、彼については高校の時から興味を持っていて、Tシャツを買う等していたが、キューバ革命の指導者くらいの理解しかなかった。そんなチェ・ゲバラにこの映画を観てさらに惹き付けられた。

 モーター・サイクル・ダイアリーズ。内容はチェ・ゲバラが革命家になる前の医大生時代、友人と2人で南米をバイクで旅した事に焦点が当てられている。彼が記録として残したものが題材にされているので、多少脚色があっても実話である。
 
 ゲバラは23歳のハンセン病を学ぶ医大生。旅の目的を特に定めず、彼の生まれた土地アルゼンチンからはじまり、チリ、ペルー等を経てエクアドルまで到達する。この旅での出来事がきっかけで、彼がその後革命家として志すようになる。これまで自国(アルゼンチン)だけで生き、国家間の障壁など考えなかったゲバラが、共産主義を志すが故に浮浪者の道を歩まざるを得なくなった夫婦や、チリのチュキカマタ銅山にて働く者達に会った際、何か言葉にできないものが湧き上がる。その時からの心情を言葉を通じて表したのは、彼がペルーのハンセン病療養所でボランティアを行った際のスピーチだった。
「無意味な国籍による障壁があるが、南米大陸は一つの混血民族から成り立っている。ゆえに偏差な地方主義はやめてペルーと統一された南米大陸に乾杯!!」
(僕、感激!!)

 
 まるで坂本竜馬の発想だと思ったが、やはりチェ・ゲバラも坂本竜馬を尊敬していたらしい。彼が革命家として、マルクス主義を掲げるキューバ革命、つまり社会主義国家としてキューバを成り立たせるために先導したが、なぜ彼が社会主義を選んだのかはこの映画では分からなかった。社会主義国家を広める事で南米大陸が統一する事ができたのだろうか。直感的に現在の結果論として成り立っている国家群を眺めると厳しそうな気はするが、彼なりの理想とする社会主義国家群像があったのだろうと思う。竜馬は理想通りに日本を統一した。ゲバラは結果的に南米は統一していないが、彼のアプローチ(社会主義体制を国家に適応する事)でどんなシナリオを描いていたのか、それが非常に気になった。

 このようなゲバラに興味津々になってしまうと同時に、映画の中の視覚的部分で南米にもさらなる興味を持ってしまった・・・