2008/11/03

文化的な一日@銀座&六本木

 今日は文化の日一日前に相応しい文化的な1日だった。

 会社の同期が、11月1日・2日の2日間銀座で開催されている銀座JAZZ Festivalの中止リスクをカバーする保険を主催者に提供しており、フリーパスらしきものを持っているとの事なので、連れられてこのイベントに行ってきた。

 このイベントは銀座のシャネル、バーバリー、アルマーニのホールや時事通信社のホール等にて、世界各国、国内から集まった13グループのJAZZ(系)奏者によって演奏されるイベント。GINZA International Luxury Committee(GILC)という、銀座で店舗を構えるラグジュアリーブランド(上記シャネル等)で構成される組織が、銀座の認知度とブランド力を高めるために開催しているフリーイベントの一種。銀座の認知度とブランド力が高まる事で、最終的にそれら企業の利益にも貢献する取組である事は予想できる。

 そもそもが無料のイベントなので、最初、フリーパスのメリットを見いだす事は出来なかったが、行ってみてはじめてわかりました。各アーティストの演奏を聞くためには、全23ステージそれぞれ事前に予約して、抽選の結果各ステージ毎のチケットをゲットしないといけない。昨日の青木カレンのステージのチケットは7倍くらいの倍率だったらしい。
そんな面倒くさいプロセスなしに、途中の入退場OKで色んな会場を好きなように回れるフリーパスは非常によかった。同期に感謝。おかげで今日だけでも5つのステージを回る事ができて、色んなアーティストの演奏を聴く事ができた。

やはり生演奏はよい。

 特によかったのは時事通信で行われていたエミリー・クレア・バーロウとシャネルのネクサスホールで行われたパリジ・ミュゼット・トリオ(ゲストボーカル:アワ)のステージだった。

 エミリー・クレア・バーロウはカナダ・トロント出身の女性JAZZボーカリスト。ブラジル音楽の影響を受けているため、ボサノボ風の曲調にアレンジされたものが多く、実際セルジオ・メンデスのカバーとしてso many stars等を歌っていた。so many starsを歌い終わった後「the Ginza street has so many stores.」とボケていた。自分としては逆に、知っているボサノバの曲がJAZZ風にアレンジされていたのが新鮮で、印象に残った。

 パリジ・ミュゼット・トリオは、フランス出身の奏者で、アコーディオンが印象的でいかにもおフランスを思わせるパリ・ミュゼットという音楽の奏者。ジャンゴ・ラインハルトの曲でミュゼット音楽には触れた事があったけど、今回はその音調にセネガル出身の女性ボーカルのアワの声が加わった事がとても新鮮で心地よいステージだった。


 その後、六本木ヒルズに場所を移し、森美術館が主催しているMAMアートコースとして、姜 尚中の「21世紀の国際社会とこれからの日本」と題した講演会に参加した。学生の時から好きな学者であり、最近では「悩む力」と言う本を読んだが、いつでも含蓄ある言葉を放ち、クールさを持った佇まいは非常に好感度を持て、彼のスマートな部分に惹かれてファンになる女性も多いのだろうと思う。実際、300人規模の会場の7〜8割くらいが女性であった。

論旨は、主に日本が今後どうなるのか、また姜 尚中としてはどう考えるのか、を中心に2時間程の内容であった。

 彼の今後の日本のあるべき姿としては高福祉・高負担の社会、つまりは北欧型の社会を目指すべきである事を主張していた。
 日本の経済成長の6割が依然として内需が占めるため、内需拡大が政策の優先順位としては高く、国民が将来に安心を抱けるような年金制度・医療保険等のセーフティネットの構築等が必要とし、それを実行し得るリーダーの出現もまた重要と説いていた。
 また、国のリーダーを生み出すための選挙制度の改革が必要であり、そもそもマックス・ウェーバーの言う『可能な事をするだけではなく、不可能な事にチャレンジして可能にしていく』気概を持った人材の政治への参加機会を広げる根本的な施策が必要であると話していた。

 白州次郎も大切にしていた精神、ノブレス・オブリージュ(nobless oblige:高貴な者が社会に果たすべく義務感)を持った日本のエリート学生が非常に少ない現状を、米国や韓国のエリート学生のアントレプレナー志向と比較して憂いていた。


知識の詰まった人の言葉には深淵なる響きがある。彼の講演を受けてそんな事を思った。


以上、銀座と六本木にて、文化的なとある一日でした。