2010/10/24

白州蒸溜所見学

サントリーの白州蒸溜所に行ってきた。
サントリーウィスキー「白州」を製造している工場だ。この商品名に関して、白州次郎を連想し、「しらす」と思われがちだが、山梨県北杜市白州町の蒸溜所の名称どおりで、読み方は「はくしゅう」である。
同敷地には、サントリー南アルプスの天然水を製造している工場もある。

今回、酒を飲むのでさすがに鉄道を使った。
新宿から特急あずさで蒸溜所最寄りのJR小淵沢駅まで2時間。(小淵沢駅から工場まではタクシーで10分程度。)
特急あずさに乗ったのは初めてで、新宿からの乗車券(特急券+乗車券)で5500円。(ま、こんなもんなのか。チケットは金券ショップがおすすめ。片道4000円くらいで買える。通常における、この値段の下がり方からして、各種回数券に関して供給過剰の状態が伺える。余談。)

白州工場に行くに至った背景として、銀座のdi puntoというカジュアルイタリアンの店でたまたま「森香るハイボール」という、白州でつくったハイボールを飲んで旨いと感じて以来、この「白州」に最近はまっている事もあり、今回①蒸溜所見学(事前予約不要、無料)②ハイボール体感講座(事前予約必要、一人700円)に参加するために行ってきた。

①蒸溜所見学で得た事。
・最初の蒸溜工程で生じる、大麦を水を通して発酵させた麦汁の匂いが何とも表現し難い匂いであった事。
・ウィスキーの味の要素は大きく2点、樽の種類と水を含む製造する土地の周辺環境。(樽が味に大きく影響を与えている事は知らなかった。)
・シングルモルト(麦芽)ウィスキーのシングルとは単一蒸溜所の原酒のみで造られている事を示している。
・樽の貯蔵庫の温度調整はしていない。
・ビール、焼酎と比して、ウィスキーの製造工程は長い。原料はいずれも主に麦(焼酎は色々あるが。)で、蒸溜工程がビールはなし、焼酎は一回に比べてウィスキーは2回。ウィスキーは長期にわたる樽熟成。


②ハイボール体感講座で得た事。
・講座が開催された敷地内BAR白州のバーカウンターは、昔銀座8丁目にあった「バーうさぎ」のカウンターバーをそのまま譲り受けた。
・山崎との飲み比べもできるが、個人的な嗜好は、白州。山崎の方がスモーキーな印象で、白州の方がフルーティな印象。
・白州12年の方が10年よりもまろやかな印象を持った。
・おつまみとして出された京都小倉山荘のチョコ柿の種が抜群に旨かった事。
・アンケートの項目に「blogにこの講座の事を紹介しますか?」あった事。(チェックをしていないが、こうして紹介していること。)
・上記、森香るハイボールを初めて飲んだ店(di punto)はもろにサントリー系列だった事。
・「森香るハイボール」とは、白州をソーダでわったハイボールを指す、サントリー側の造名称であること。


白州工場は自然もよく、空気も綺麗し、週末のリフレッシュプランにおすすめです。
ウィスキーとか、ハイボール好きな人にとってはさらに良いです。
ウィスキー自体に興味が湧いたし、スコッチとか本場のものとの違いについても今後は興味を持ち始めそう。

上記から、自分はサントリーの回し者ではありませんので。

しかし、当企業は広告とか宣伝が旨いなーと感じる。
ハイボールという軸で、ウィスキー市場を拡大させつつある事を踏まえると、今回の見学会等でも「森香るハイボール」のPRに余念がなかった。
マーケティングの根本である、マーケットの創出を地道に実践しているように思えた。
高付加価値のハイボールとして、現在盛り上がっているハイボール市場に一線を画そうとしているのだろうか。
いい戦略だと思う。普通に美味しいし。

2010/05/15

深い河

GWにインドから帰国した1週間後、八雲図書館で遠藤周作の深い河を読んだ。

インドを旅行している時からずっと読みたかった本であり、遠藤周作の宗教観を集約した本である。
今回のバラナシにおけるガンジス河で抱き、悶々とした感情をクリアにしたかった。

自分が先日のGWと2003年に訪れて、インドに対して持ったどこか他の諸外国と異なる感情、想いは何か、日本で暮らしていて何か通ずるものがあるのは何故かを明らかにしたかったのだ。
この一冊にすべての疑問解決を委ねる事はしなかったが、解決の糸口を得るツールとして期待した。

期待は裏切らなかった。映画化もされているが、未だVHSしかなくDVDは未発売。

現代を舞台に、ヒンドゥー教を含めたキリスト教に対する遠藤の宗教観についても記載されている小説。

主な主人公は5人居て、現代におけるそれぞれの個人がインド旅行ツアーに参加し、主にバラナシにおけるガンジス河をメインにそれぞれの想いを交錯させるもの。それぞれの個人が何故インド旅行に来ているのかという切り口で過去に遡り、例えば、妻の死を皮切りに輪廻転生の発想を持つ者、過去、ビルマ戦線に参加した老人が仲間の肉を口にしてしまう事による善悪、カルマ思想を持つきっかけとなった者。

これが、デリー、アーグラ、ジャイプル、バラナシと偶然にも今回自分が友人達と行った内容とぴったり同じだった事は驚きだった。まぁ北インドの定番ルートなのでしょうが。

つらつらと、内容を備忘のため記載するつもりはないが、はじまりは磯辺という50代の男の妻が末期癌に亡くなる章から始まる。彼の妻が死ぬ間際に輪廻転生を思わせる言葉を残す事から、彼がインドに行くきっかけとなる。

人が信じる神をそれぞれに選ぶのは、生まれた国の文化や伝統や各自の環境による事が多いと思う。

自分が印象に残った点として、「善悪不二」について。内容は次のとおり。
「人間のやる所業には絶対に正しいことはないと言えることはない。逆にどんな悪行にも救いの種が潜んでいる。何事も善と悪とが背中合わせになっていて、それを刀で割ったように分けてはならぬ、分別してはならぬ。」

上記内容は全くガンジスの沐浴と通ずる。遺灰を流すその横で人々がその横で幸せそうに沐浴をしている。(その水は横で遺灰が流されている事を知らぬような表情)

それはまさに宗教心の現れであり、彼らにとって輪廻転生が日々を過ごす上で当たり前である事が伺える光景であったように思えた。

2010/05/09

Incredible India 2

インド所感の続き

◆バラナシ
前回行けなかったバラナシに今回は行った。ガンジス河畔のヒンドゥー教と仏教の一大聖地。

ガンジス河自体がヒンドゥー教ではガンガーと呼ばれる神を表しているので、ヒンドゥー教徒はこの河で沐浴をして体を清めたり、この河の水を飲んだりしている事は有名な話。ヒンドゥー教の成り立ちは紀元前5世紀あたりとされているため、現在もほぼ同様の形式で上記行為が存続している事自体が驚き。

ヒンドゥー教では、バラナシのガンジス川周辺で死をむかえると輪廻から解脱できると考えられている。そのため、この地でひたすら死を待つ人々が多くいる。

バラナシは「大いなる火葬場」とも呼ばれており、年中煙の絶えることはなく、死者はガンガーに浸されたのちに火葬場としての役割を果たしているガート(川岸に設置された階段。洗濯場のほか、巡礼者の沐浴の場)で荼毘(火葬)に付され、遺灰はガンガーへ流される。金が無い人、赤ん坊、妊婦、蛇に噛まれて死んだ人はそのまま流される。
ヒンドゥー教では魂のぬけた亡骸になんの未練も持たず、死体は空の器として不要とされているので、墓はつくらない。

実際、船に引っかかっている一体の遺体を見た。誰も驚く事なく、それが自然の営みと教わると、その現実を受け入れざるを得ない独特な空間がそこにはあった。
その時、藤原新也がガンガーに流された水死体が犬に食われる現実をみて残した言葉「人間は犬に食われるほど自由だ」が頭によぎった。
今回みた水死体が岸壁に流れ着いて、野良犬に囲まれると彼がとった写真と同じ構図になる。(参考:藤原新也のweb内mementmori

火葬場で遺体を燃やして、灰を河に流しているわずか30M程の場所で、同じ河で洗濯をして水浴びをしている。これらの現実を理解するには、彼らの信仰心以外に存在しないと思う。
では自分は?と考えると、実際何を拠り所に生きているのかわからなくなった。
特にないというのが今の自分の答えかもしれないが、ある人にとっては、宗教というもので、多くのしきたりはあるものの、これを拠り所にする事で人生における幸福度が増すと考えているのだと思う。(ヒンドゥーにおいては、輪廻にまつわるもっと深い何かがあるのだと思うが。)

イギリスからの独立運動を指導したマハトマ・ガンディーも熱心なヒンドゥー教徒であったが、イギリスに留学してインドに戻ってきた際に、ヒンドゥーの仕来りにより牛の尿を飲んで体を清める等の行為を最初は拒んだという。(ヒンドゥー教/森本達雄著)
今後インドがより世界に解放された際に、ヒンドゥー教徒の宗教観はどのような変遷を遂げるのだろうか。ガンディーのように他国の習慣等を客観視する人々が増えたしても、依然悠久なる時間の中でガンジスの営みが行われ続けるのだろうか。

少なくとも急速に都市化が進むデリーの街では、この国がヒンドゥー教の国だと決定づける事象には、遭遇しにくくなっている。(マクドナルドの数も2003年よりも明らかに増えていた。)それだけインド国内もグローバライズされている。

ただ、インドの人のアイデンティティは間違いなくヒンドゥー教に由来している。(インドにおけるヒンドゥー教徒は8.3億人)
それはボリウッドを代表とする映画、音楽等文化的な側面と共に彼らの精神面での支えにもなっているのだと思う。

今後インド経済が成長する中で、彼らのアイデンティティとしてのヒンドゥー教の考えを保持する事も他方で検討する事が必要になってくるのだと思う。

ガンジスの夕方の火葬風景と早朝の沐浴風景をガンジス河上の船からみたが、携帯でも写真を撮ったのでいくつか掲載する。


Incredible India 1

GWはインドに行ってきた。
学生時代のMRIインターンシップ時代の友人で、現在重電メーカーで働く友人が海外研修生としてデリーに滞在しているため、日本から同コミュニティの友人6名で遊びに行ってきた。

30日に出発して昨日東京に戻ってきたが、やはりインドは暑かった。
いつもオフィスの中で籠りきっているので、40度くらいの気温で熱風が吹くインドの灼熱はきつかった。
その点、日本の今の気候は最高ですな。
まずはそういう感想。

2003年の9月に一人旅で訪れて以来約7年ぶりのインドであったが、インフラ整備、携帯電話の普及等多くの点で圧倒的な成長を感じた。
デリーを拠点として、車と飛行機を使っての移動だった。コースは以下のとおり。
デリー→アーグラ(タージマハル)→ジャイプル→デリー:車2台をチャーターして移動。
デリー→バラナシ(サルナート):飛行機(航空会社、行き:Kingfisher、帰り:Spicejet)


◆デリー
・道路が整い、バスも電光版を備えたものが普及、デリーメトロの一号線も開通して都市化が促進されていたが、急激な自動車の増加により渋滞が蔓延していた。

・感覚的に牛が少なくなっていた。どこにいったのでしょうか?野良牛が居住するにも、草木の箇所がアスファルト整備されてしまうと食料にありつけないので自然と郊外に追いやられる流れになると思う。さらに草木の生長を促進するために、牛等に食べられないような柵も張り巡らされていた。他の都市でも同様で、政府のCO2削減対策との事(バラナシのガイド談。)


◆航空業界
・デリーからバラナシ(約600KM)は鉄道ではなく、飛行機で行った。(鉄道では約11時間かかるが、飛行機では約1時間。)

・行きは、Kingfisher、帰りは格安航空会社のSpicejetを利用した。値段はKingfisherは6,500Rs(約13,000円)、Spicejetは2,500Rs(約5,000円)。

・Kingfisherはインドのビール会社ユナイテッド・ブリュワリーズ(UB)傘下の航空会社。(インド滞在中は何度も同名のビールを何度も飲んだ。日本の味に近く、美味しい。)機内サービスが充実しており、約1時間のフライトの割に機内食も支給してくれる。機材はエアバス。

・Spicejetは、完全にローコストキャリアを前提にした戦略をとっており、機内サービスは水のみ(画面も音楽もない)。上記のとおり、値段はKingfisherと比して半分以下。機材はBoeing737。インド国内全域を満遍なく11都市に就航している。Spicejetの名は欧州のローコストキャリアEasyjetを思い浮かべる。(戦略も同様!?)

・上記どちらのフライトも空席はほぼなかったが、乗客はインドの富裕層もしくは観光客。鉄道はKingfisherの値段を基に考えると、一等でも約4分の1、一般庶民が乗るエアコンなし2等では約30分の1の値段。

・デリーのIndira Gandhi国際空港の国内線ターミナルの整備状況を拝見するに、上記航空会社の他にIndigoやAirsahara等の新興航空会社が競合しており潜在需要を感じられる。実際、デリー、ムンバイ等の大都市間の高速鉄道の整備がない状況、インドの国土規模、毎年約6%のGDP成長率等を考慮すると今後ますます拡大する市場になると思う。(当面は富裕層、観光客向けビジネスになると思うが。)


◆ホテル
・インド滞在の友人が全て以下のホテルを手配をしてくれたので、本当に感謝だった。日本でも馴染みのあるシャングリラホテル等いずれも相当良いホテルだった。自分が一人旅で使うような宿とはかけ離れていた。
Delhi:Vasant Continental、Shangri-la Hotel、The Leela hotel
Jaipur:Trident
Varanasi:Ramada Plaza

・ホテルの価格決定要素は立地、内装、外装、スタッフのサービス、料理の質、部屋の仕様、部屋からの眺望等が挙げられると思うが、その点首都機能を有するデリーのホテルは軒並み、ジャイプル、バラナシのホテルよりも高かった。

・デリーのホテルでは、空港からのアクセスが良い新興都市Gurgaon(外資や日本企業の拠点があり、重要な金融センターの位置づけでもある。)、The Leela hotelが最も高かった。

・個人的には立地以外の要素ではシャングリラホテルが良かった。


以上は経済的な側面のインドの所感。
Incredible India 2ではバラナシに行って感じた事を記す。

2010/01/31

No Man's Land

タイトル記載のアートイベント、No Man's Land。広尾にあるフランス大使館旧庁舎の解体に伴い、解体前の旧庁舎で日仏のアーティスト70名が現代アートを展示しているというもの。
大使館でアート!というと堅苦しい印象を受けてしまいますが、敢えてそのイメージをなくすために現代アートの展示にしたと言われている。

本来なら1月末までだったところを、2月18日(木)まで延長されるとの事。(何かの映画みたいですが・・・)
入場無料。よって週末は結構混んでいるが、多くの人の現代アートに触れる障壁を下げてくれている点に感銘。

そもそも大使館の中を拝見できるってのも良いポイント。
内容は盛りだくさんで、いくつか携帯で撮った写真を掲載しておきますが、個人的に非常に好きです。もう一回行きたいくらいです。

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