2010/05/09

Incredible India 2

インド所感の続き

◆バラナシ
前回行けなかったバラナシに今回は行った。ガンジス河畔のヒンドゥー教と仏教の一大聖地。

ガンジス河自体がヒンドゥー教ではガンガーと呼ばれる神を表しているので、ヒンドゥー教徒はこの河で沐浴をして体を清めたり、この河の水を飲んだりしている事は有名な話。ヒンドゥー教の成り立ちは紀元前5世紀あたりとされているため、現在もほぼ同様の形式で上記行為が存続している事自体が驚き。

ヒンドゥー教では、バラナシのガンジス川周辺で死をむかえると輪廻から解脱できると考えられている。そのため、この地でひたすら死を待つ人々が多くいる。

バラナシは「大いなる火葬場」とも呼ばれており、年中煙の絶えることはなく、死者はガンガーに浸されたのちに火葬場としての役割を果たしているガート(川岸に設置された階段。洗濯場のほか、巡礼者の沐浴の場)で荼毘(火葬)に付され、遺灰はガンガーへ流される。金が無い人、赤ん坊、妊婦、蛇に噛まれて死んだ人はそのまま流される。
ヒンドゥー教では魂のぬけた亡骸になんの未練も持たず、死体は空の器として不要とされているので、墓はつくらない。

実際、船に引っかかっている一体の遺体を見た。誰も驚く事なく、それが自然の営みと教わると、その現実を受け入れざるを得ない独特な空間がそこにはあった。
その時、藤原新也がガンガーに流された水死体が犬に食われる現実をみて残した言葉「人間は犬に食われるほど自由だ」が頭によぎった。
今回みた水死体が岸壁に流れ着いて、野良犬に囲まれると彼がとった写真と同じ構図になる。(参考:藤原新也のweb内mementmori

火葬場で遺体を燃やして、灰を河に流しているわずか30M程の場所で、同じ河で洗濯をして水浴びをしている。これらの現実を理解するには、彼らの信仰心以外に存在しないと思う。
では自分は?と考えると、実際何を拠り所に生きているのかわからなくなった。
特にないというのが今の自分の答えかもしれないが、ある人にとっては、宗教というもので、多くのしきたりはあるものの、これを拠り所にする事で人生における幸福度が増すと考えているのだと思う。(ヒンドゥーにおいては、輪廻にまつわるもっと深い何かがあるのだと思うが。)

イギリスからの独立運動を指導したマハトマ・ガンディーも熱心なヒンドゥー教徒であったが、イギリスに留学してインドに戻ってきた際に、ヒンドゥーの仕来りにより牛の尿を飲んで体を清める等の行為を最初は拒んだという。(ヒンドゥー教/森本達雄著)
今後インドがより世界に解放された際に、ヒンドゥー教徒の宗教観はどのような変遷を遂げるのだろうか。ガンディーのように他国の習慣等を客観視する人々が増えたしても、依然悠久なる時間の中でガンジスの営みが行われ続けるのだろうか。

少なくとも急速に都市化が進むデリーの街では、この国がヒンドゥー教の国だと決定づける事象には、遭遇しにくくなっている。(マクドナルドの数も2003年よりも明らかに増えていた。)それだけインド国内もグローバライズされている。

ただ、インドの人のアイデンティティは間違いなくヒンドゥー教に由来している。(インドにおけるヒンドゥー教徒は8.3億人)
それはボリウッドを代表とする映画、音楽等文化的な側面と共に彼らの精神面での支えにもなっているのだと思う。

今後インド経済が成長する中で、彼らのアイデンティティとしてのヒンドゥー教の考えを保持する事も他方で検討する事が必要になってくるのだと思う。

ガンジスの夕方の火葬風景と早朝の沐浴風景をガンジス河上の船からみたが、携帯でも写真を撮ったのでいくつか掲載する。


5 件のコメント:

まき さんのコメント...

おおー!インド2回目行って来たんやね!!!
なんか大人な感じの宿泊先・移動手段などなどやね 笑
なんか私も1月に行ったのがすでに超昔のことみたいやけど、また行かないかんねぇ
バラナシ、私も一度は行きたいな
そうそう、私もデリーに牛がおらんのをすごく不思議に思ったんよ、それで聞いたら、デリーの牛は処分というか、政策で都心部からは追い払われたらしいよ

atsuyuki さんのコメント...

おーまきちゃん!
2回目は、やっぱりよりインドを知れたというか。前回との比較の視点と、さらなる深堀の視点を持って旅行できたよ。
うーん。やっぱりバラナシって今の(牛が追い払われている)デリーとか都市部と比較するとインドの根源的なものがあると感じたよ。現代においては、とても意義深い場所かもね。
是非行ってみて!

ご存知かもやけど、近々インドでcommon wealthと呼ばれるイギリスの旧宗主国の国々が集まったスポーツの祭典(?)があるらしく、インフラ整備が急ピッチに行われていたよ。

まき さんのコメント...

うーん、いいねぇ2回目
インドは一生のうちに何回かは行きたい国よね

バラナシもいつか行きますぞ
なんかさ、早朝にガンガで沐浴する人たちを観光客が一眼レフ構えてボートにひしめきあって見物、っていうのが非常にいただけんかったという意見もよく聞くけど、そこらへんはどうなんやろうか
そういうのも全部包括して、あーだこーだの意見がくだらんちっぽけなことのように感じられるぐらいそこにある地元の人たちの生活が圧倒的なんやったら、まだまだバラナシも大丈夫なんやろうけどね

common wealthのスポーツの祭典?クリケットかな??クリケットは今度バングラでやるって言いよったような気もするし、また別のものかなー
そういえば、デリーメトロの現場係長か誰か、工事を指揮するお偉いさんが日本人女性らしい
インド人男性を恐れさす豪傑らしいよ 笑
頼もしいねー

mon さんのコメント...

牛の糞を鍋敷のように丸くして干して乾燥させていなかった?
あれ、何に使うんだろう?

atsuyuki さんのコメント...

>まきちゃん

common welthの話をインドでガイドしてくれてた兄さんから聞いたとき、真っ先にクリケットはあるよね?と聞いたけど、対象種目には入っていないらしい。イギリス連邦諸国に属する国、50カ国が参加対象国になるので、大半の国で行われているスポーツを競技とする必要性を考えると、クリケットは対象にならなっていないのかと。

http://ja.wikipedia.org/wiki/コモンウェルスゲームズ


>monさん

牛の糞を丸くして干してあったのは、家の壁にペタペタペタペタはらしいですよ。どこかで聞いたような気がします。家に虫がよってこなくなるみたいですわ。牛の糞って相当色んな用途があるみたいなので、もっと違う使い方をしてるかも知れませんね。