2005/01/16

ウォントとニーズ

先日、就活で東京に行ってきました。
その時に持っていく本として、書棚から一冊の文庫本を選んだ。
タイトルは「生きること 学ぶこと」。なんてまじめなタイトルでしょう。大学1回の時に読んだ記憶があったが、内容はほとんど忘れ去られていました。
著者は広中平祐という数学者で、いざ目を通してみると、今の僕に素晴らしい知見を与えてくれました。その知見とは「ウォント(欲望)とニーズ(必要)の違いを理解した上で、創造に重要なものはウォントである」という事。その言葉だけ見ると若干抽象的かもしれませんが、就職活動中の自分にとってもウォントとニーズを考えながら物事を選択していく大切さを実感した。

以下本書の言葉を引用する
「ニーズ」と言う言葉は、空間的に言えば、外部の状況を判断して割り出した必要性であり、時間的に見ると、過去から現在にかけて人間が経験した事、得たものを基準にして割り出した必要性という意味に使われる。これに対して「ウォント」は、自分の内部から出てくる必要性であり、現在と未来に時間軸をとった上での必要性を意味している。すなわち、欲望とか、欠乏を内包した「必要」がウォントの意味なのだ。

そして、彼が「複素多様体の特異点に関する研究」でフィールズ賞を受賞するほどの研究成果を出せたのは、ウォントという情念が常に彼を動かしつづけたからだと言う。
ものを創る過程には総じて飛躍が必要であり、彼の飛躍の原動力はニーズではなく、ウォントであった
という。

また著者は若者の就職に対して、情報などによりニーズを割り出して就職先を決める人が圧倒的に多いと言う。例えニーズから割り出した就職先であっても、それが何らかの形でウォントに切り替わらない限り、どこかで挫折してしまうのではないかと言う。

理性による判断から生まれた「ニーズ」、現在の自分の中にある何かいたたまれない情念から生まれる「ウォント」。最近、就職に対して自分自身はニーズ一辺倒で考えて来た感があった。ニーズありきのウォントになっていたと思う。その場合のウォントは何かしっくりこないなと思う事が多々あった。そういう思考回路を一度リセットする機会をこの本で持つことができて有意義だった。

あーー2日酔いなのか、風邪なのかわからないこの体のだるさ。リセットして欲しいです。

0 件のコメント: