2005/10/29

暗室にて 

 先日修士論文の中間発表があり、それまでは結構バタバタしていたように思うが、ある先生からお褒めの言葉を頂くなどいい形で終える事ができたので、さらにやる気アップで次のステップに進めそう。

 という事で研究に対するやる気はあるとは言いつつも、節目の後はゆとりを持ちたいので昨日の晩から暗室に篭って写真を焼く事にした。結局寝る間も含めて今日の夕方まで部室に居た。合計8時間くらい暗室に篭っていたと思う。焼いたのは南米のモノクロ。ネガ現像は帰国後すぐにやっていたので今回はプリントのみ。今回の南米旅行でモノクロは14本撮っており、一日やそこらでネガの段階で印象的なもの全てをプリントする事は不可能と思っていたので、旅中に知り合った人へ送るものを優先的にプリントした。

 視界が黒98%赤2%の暗室で印画紙に像を焼き付けて、現像液に浸し、像が浮かび上がってくるのを眺めていると同時に、その像の時空間を存在していた自分の五感が蘇ってくる。完全に定着させ、作品として出来上がったものから受ける記憶の回復よりも、プリント最中の方が鮮明に当時の五感を復元することができる。なぜだかわからないが、あのほぼ真っ暗な空間(暗室)で水洗の音と調和してリラックスした音楽を耳に入れ、プリントの完成を願いながら印画紙を現像液に浸している最中に、当時を思い出したいという自身のプログラムが本能的に始動しているからかもしれない。プリント作業への集中力が高まっている時間だと思う(ちなみに昨日最高に集中できた曲はWalts for Debby/Bill Evans Trio)。
 正直、暗室から出て六甲の山を下るとき、素晴らしくいい景色に毎回感動しながらも、テスト後のような何か物凄く集中した後の感覚がある。今回もそうだった。

ともあれ、今回の旅ではいい感じのモノクロ作品がたくさんできそう。そんな気がする。ネガも良い状態で仕上がってるので、プリントで色々ためす事ができそうや。

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