2004/08/04

中国の地域経済力格差について

 今日,特別講義で名古屋大の林先生が来られて,sustainableな交通,都市についての発表をしていただいた.都市計画の分野でバンコクの交通計画に主要なポストで携われていたり,グローバルな舞台で活躍している先生であり,たくさんの今後の自分にとって有意義な知識を提供していただいた.
 そこで,僕自身今日の朝読んだNIKKEI WEEKLYで掲載されていた中国企業のASEANに対する投資が増加している事実から派生した質問を,林先生に授業の終わりに投げかけた.

 僕が疑問に思っていた事は,中国の沿岸部と内陸部の経済格差であり,それが今後どういう方向に進むのかというものだった.一般に多くの方がこの事に対して関心はあると思われるが,明確な解を持っている人はそう多くはないはず. 僕自身としては,内陸部の所得水準の低い人々が,沿岸地域,または高成長の都市に労働者として流入してきて,低賃金労働力を必要とする企業に雇われ,次第に所得の底上げがなされ,都市の郊外化,発展が進み,都市が内陸部のほうまで及ぶ.その結果,内陸部もある程度都市が形成され,沿岸部との経済格差が解消されてくるのではないかという見解だ.あまりに飛躍的で論理と呼ぶにふさわしくない見解だ.
 
 しかし,今日僕が見た記事は僕の見解と全く違う方向性を持っていたのである.中国の企業はASEANに対する投資を拡大しているというのだ.理由としてベトナムにおいては低賃金労働者の獲得,タイにおいては中国語教育のための投資,ミャンマーにはインド洋に進出するための企業進出が挙げられていた.特に,ベトナムの低賃金労働者の確保に関して、まるで中国が先進国であるかのような印象を疑問を持った.ベトナムの経済成長は7%であり,アジアの中で中国の次だ.しかし,何故中国は内陸部の労働者を利用しないのか?中国は中国全体の成長はどうでもいいのか?
 その辺りの林先生との議論をまとめると,やはり距離的に考えてグローバリゼーションの企業戦略から,内陸部のアクセスビリティの低さを考えるよりも,それほど遠くないASEAN地域の工場立地を求める.また,様々なコストを考えて,ただ低賃金の労働者よりも,学習能力のある,または経験値のある人材を利用するほうが結果的にコスト減と考える事ができる.必ずしも内陸部の中国労働者が学習能力がないと否定できないが・・・。

 先日チャイナインパクトで読んだが,中国国内は文化的・その他いくつかの要因で5つのメガリージョンに分かれているという.儒教の精神から来る、血縁的つながりを大切にするし、同じ中国だからといって連帯感が強い事は必ずしもない。この事から,中国の企業としては 「同じ中国の発展のためだから」という横並びの思考ではなく、完全に利潤最大を基に動いているんだなと思う.資本主義体制化における企業である限り当然の行動だと思うが・・・。中国の経済体制って・・・。僕が中学辺りで学んだ中国の経済体制はもう昔のことなのですね、先生。

 内陸部と沿岸部の経済格差の問題を中国の企業の行動で考えるのは難しいことが分かった.企業はやはりどの国においても企業なのだ.中国国家の政策として企業に内陸部の低賃金労働力を有効に活用するインセンティブを与えてやる必要がある.まずはインフラ整備に関して、企業のコストとしてのアクセスがウェイトを占めるのなら必須であろう.あと,関税率の低下も必要である.企業のASEAN立地の要因として上に書き忘れたが,中国よりもASEAN諸国は低関税率なのである.

以上,だらだらと長かったが,自分的に少し整理できたから良しとしよう.今日は多めに寝よっと.

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