2006/03/31

大阪最後の日? 会社とは・・・

でもないと思うけど.
今日は朝から一人で九条にあるシネ・ヌーヴォーへ.
現在モーニングショーで公開されているTHE CORPORATIONを観ようと思って.
 
 興味を持ったきっかけは,最近企業とは・・・みたいな事に関心があったから.いくつか読んでいる本の中で会社はだれのものか/岩井克人がある.この本の中で,まず企業と会社の言葉の定義を明確にして,さらに株主・経営者・従業員が明確に分離されているものを会社とし,その会社の価値を2つにわけている.それは1:モノとしての会社の価値と,2:法人として規約されるヒトとしての会社の価値.簡単に言うと1:モノとしての会社の価値とは株式のこと.2:ヒトとしての会社の価値とは,法人格を持つ会社がヒトとして所有している資産の価値としている.
 例えば,ライブドアのニッポン放送の買収を通じてフジテレビの支配権を握ろうとした問題において,ライブドアが断念せざるを得ない背景として産業資本主義におけるおカネの論理と,ポスト産業資本主義におけるヒトの論理との違いがあったという事を示している.
 つまり,ホリエモンの「カネで何でも買える」という思想は,会社の買収を試みた際,モノの側面のみをみた発言で,会社のヒトの側面を無視した行為だと筆者は論じている.ここであの時のニュースを思い出したのだが,フジテレビの番組に出ているタレントがホリエモンが仮にトップに君臨したら自分が出演している番組を降板すると言っていた事.これらタレントは2の価値に当てはまると思う.フジテレビの社員に関しても2の価値で,この事件がきっかけで彼らが会社を離れてしまうとフジテレビの資産価値が弱まる.まぁ現時点では,資本主義のルールに乗っからない行為をしたライブドアの問題を取り上げるのはナンセンスかもしれないな.
 現在の日本をポスト産業資本主義と定義した上で,産業資本主義の時と違って製造業に関しても,他社との違いにより付加価値を生み出す必要があると説明している.その付加価値を生み出す事に関してヒトの果たす重要性がますます高まり,元来ヒトが資産と言われている業種(メディアなど)に関しては顕著に現れるという.このヒトの価値の高まりが,おカネだけでは会社は買えない理由であり,この本の筆者の主張として,これからますますヒトに対するおカネの価値は低下していく事を挙げている.
 まだ1回しかこの本を読んでないので完全理解には乏しいが,自分が上で記したポスト産業資本主義などの抽象的な言葉に対する説明・定義づけもしっかりされていて,これから会社はどうなっていくのかを考える上で基本的な下地が形成できる,わかりやすくて良い本だと思う.
 
 で,肝心な今日観た映画the corporationでは,会社を擬人化して,利益を追求する強欲なものと理解した上で,利益をあげるためにどんな事をして,社会にどんな弊害を及ぼすのかを示している.というのも現在,会社(狭義の企業)が社会に絶対的な影響力を持ち,自己中心的に世の中を支配していると示している.
 完全なドキュメント映画なので,事例が多く出てきたが,例えばウガンダの少年兵問題に関して,計量武器の供給は大半が先進諸国企業である事.この事は以前の項でも自分は考えていた.
 その他には,ボリビアのコチャバンバの水道業務をアメリカの建設業を軸に何でもやっている会社ベクテルが民営化を試みた際に起きたエピソード.リンク先をみてもらったら分かると思うが,迂闊に人間が生きていく上で必須の水を,営利団体(すなわち会社)に業務させる事は非常に怖い.以下引用.

わずか60ドルの月給で生活するしかない母親が、とにかく水道を使い続けるだけのために、15ドル余りを支払うように指示されたのだ。

ありえない・・・

 他に,かなりショックだった事例として,第2次世界大戦時ナチスのユダヤ人粛清のための管理に,だれがどのように対処されるのかを記録するためにアメリカのIBMのパンチカード機器「ホレリス」が必須だったらしい.映像でも流れていたが,5はガス室送りや6は特別処刑(例えば銃殺)など,一人一人がどのようになったかを記録されている.
 この映画は初志一貫して会社は利益を追求するものとして扱い,ある意味ミクロ経済の点からもそれは明らかだけど,かなり冷徹な存在としてCORPORATIONというものが描かれている.

映画の内容はここまでとし,以下少し話はそれながらも続ける.

 次のような本を読んでみて,これまたなんか企業にとっては奇麗事やなと思ってしまう.日本をロハスに変える30の方法 ? BUSINESS LOHAS/ローハスクラブ
LOHAS=Lifestyle Of Health And Sustainable頭文字をとったものだが,健康的で持続可能な環境に配慮した生活を行なう.みたいな事.まぁそのままやけど.健康的に生きることや地球を大切にしようと言う姿勢を持つ事は自分でもクールだと思うし,自分もそうありたいと思う.どっちかというと環境にも体にも良いものを食べたいと思うし.そう思い,具体的に実行する事がLOHAS的な生き方なんだとさ.
 だけど,それ(環境配慮など)を企業が行なうのは矛盾していると思う.というか,それを前面に押し出しているのは嘘のような気がする.この考えは先の「会社は誰のものか」の著者,岩井克人さんのものだが,結局は長期的な利益を求めて,環境に配慮している会社,地球に優しい会社だと認識させ,ブランドイメージ向上の結果,株価の向上を期待しているとある.
 最近では日本の会社が,環境配慮の時流にあり,それに乗っかるように色んな会社が環境配慮を謳っているが,今の中国市場で一般国民にそんな事をアピっても何にもならんと思う.高度成長期の日本に環境配慮を謳う会社があったかどうかを考えると理解できる.例えあったとしても,少数派であると会社として環境配慮を謳うメリットはない.理由は多数派になって環境配慮の時流を作らないと,一般国民にも浸透しないし,消費者に浸透しないとそれが消費へのインセンティブに加味されないから,投資家もカネを出してくれない.

 まぁ明日からちょうど4月1日で,今日が学生と社会人の節目の日でもあるし,これから属することになる会社についてちょっと批判的につらつらと書いてみましたがな.
 
 明日の午後に上京して,インターンシップ時のメンバーと,千鳥ケ淵緑道で夜桜してその後新宿で飲みに行こうという計画になっている.久々の再会なので楽しみや.4月3日入社式はどこの会社もそうやろね.しばし大阪を離れます.みんなGOODLUCK.俺もGOODLUCK.では.

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